AI作曲と著作権:誰のものか、どこまで使えるかを、一次資料から整理する
AIでつくった曲を動画に使いたい、配信したい、販売したい。そのときに確認することは3つあります。日本の著作権法でその曲がどう扱われるか、使ったアプリの規約で何が許されているか、公開先のプラットフォームのルールに合っているか。
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このページは法律相談ではありません。AI音楽スタジオ Midhull が、一次資料をもとに整理したものです。個別の判断が必要なときは、弁護士などの専門家に相談してください。資料の確認日は2026年10月31日です。
日本の考え方:文化庁の資料から
日本では、2024年3月15日に文化審議会著作権分科会法制度小委員会が「AIと著作権に関する考え方について」をまとめ、文化庁が公開しています。資料自体に法的な拘束力はなく、その時点での考え方を示したもの、と冒頭に書かれています。音楽に関わる部分を、該当ページとともに整理します。
AIでつくった曲は「著作物」になるか(39ページから40ページ)
著作権法では、著作物を「思想又は感情を創作的に表現したもの」と定義しています。資料は、AIが法的な人格を持たないことから、AIそのものは著作者になれず、AIを利用して「著作物を創作した」人が著作者になる、と整理しています。
そのうえで、どんなときに人の創作と言えるかについて、次のように書いています。
- 生成AIへの指示が「表現に至らないアイデアにとどまるような場合には、当該AI生成物に著作物性は認められない」(39ページ)
- 判断は個別の事例ごとに行い、「単なる労力にとどまらず、創作的寄与があるといえるものがどの程度積み重なっているか」を総合的に考える(39ページから40ページ)
- 考慮される要素の例として、指示・入力(プロンプト等)の分量と内容、生成の試行回数、複数の生成物からの選択が挙がっています。ただし、試行回数が多いこと自体や、単に選ぶことだけでは、創作的寄与の判断に影響しないとされています(40ページ)
- 人がAI生成物に「創作的表現といえる加筆・修正を加えた部分」は、通常、著作物性が認められる(40ページ)
歌づくりに当てはめると、「明るいポップで」と一言頼んでできた曲と、自分で書いた歌詞を乗せ、1行ずつ直していった曲とでは、評価が変わりうる、ということです。とくに自分で書いた歌詞は、AIとは関係なく、あなたの著作物になりえます。
AIでつくった曲が、既存の曲の侵害になるか(32ページ)
生成と利用の段階については、AIを使わない創作と同じく、既存の著作物との「類似性」と「依拠性」の両方が認められれば著作権侵害になる、と整理しています。
つまり、AIでつくったからといって特別に許されるわけではなく、既存の曲にそっくりなものを公開すれば、問題になりえます。実在のアーティスト名や曲名で「〇〇風」と指定するのを避けるのは、いちばん確実な予防です。
アプリでは


アプリの規約で確認すること
著作物になるかどうかとは別に、使ったアプリの利用規約が「何に使ってよいか」を決めています。主なサービスの例です(2026年10月31日確認)。
| サービス | 無料プランの曲 | 有料プランの曲 |
|---|---|---|
| Suno | 個人の非商用利用のみ | Sunoは自社の権利をユーザーに譲渡。ただし著作権が発生することは保証しない。商用利用は許可されたダウンロードを経た曲のみ、リミックスはどのプランでも非商用 |
| ElevenMusic | 個人利用のみ | セルフサービスのプランで商用利用可。映画、テレビ、スタジオ制作のゲームは除く |
| Mureka | 公式ページに記載なし | 有料会員は商用利用可 |
| SOUNDRAW | 有料プランが前提 | 公式ページでは、CreatorにもArtistにも商用利用、BGMとしての利用、配信での収益化が並ぶ |
| otojam | 明示的な許諾なし | 明示的な許諾なし。著作権の発生や帰属は保証しないと規約に記載 |
| Midhull | 無料プランなし(最初の1曲は無料) | 個人での利用は全プランに含まれる。それ以外にできることは、各歌の「権利カード」にプランごとに明記。利用規約の全文は公開時に掲載 |
「商用利用可」と書かれていても、範囲はサービスごとに違います。YouTubeの収益化、店舗やイベントのBGM、配信サービスでの販売、広告。自分の使い方が含まれているかを、規約の本文で確かめてください。
YouTube、配信サービスで確認すること
- YouTubeのAI開示。 YouTubeのヘルプでは、改変または合成されたコンテンツの開示について説明しており、条件に当たるAI生成の音楽も対象の例として挙げています。アップロード時の設定を確認してください。
- 配信代行サービスの規約。 音楽配信の代行サービスを使う場合は、申し込む前に、AIでつくった曲の扱いについてそのサービスの規約を確認してください。
- 登録は必要か。 日本の著作権は、登録などの手続きをしなくても、創作した時点で発生します(著作権法第17条第2項)。
Midhullの権利と安全の考え方
- 歌ごとの権利カード。 その歌でプランごとに何ができるかを、わかりやすい言葉で書いています。
- 声は、本人の声だけ。 自分の声で歌わせるには、その場で同意の文を読み上げ、本人であることを確認します。実在の歌手や他人の声はまねできません。
- 実在のアーティストの模倣はしない。 作詞エンジンも、実在のアーティストや既存の曲を引用、模倣しないように書かれています。指定はジャンル、年代、楽器、気分で。
- サンプリングのルール。 使えるのは、アプリで録った自分の音、Midhullコミュニティの歌(元の作者が自動でクレジットされ、作者は対象外にもできます)、Midhullのサンプルパックだけです。市販の音源や他人の録音は対象外です。
- リミックスにはクレジット。 リミックスした歌には元の作者がクレジットされ、作者にも通知が届きます。
- 通報と削除依頼。 すべての歌、コメント、プロフィールに通報ボタンがあり、スタッフが確認します。権利の問題は copyright@midhull.com へ。
- AIでつくったことの表示。 歌を贈られた人が開くページには、AI音楽スタジオでつくられた歌であることを表示します。
よくある質問
AIでつくった曲をYouTubeで収益化できますか?
使ったアプリの規約が収益化を認めているか、YouTubeの開示ルールに沿っているか、既存の曲に似ていないか。この3つを満たしているかの確認が必要です。
Sunoの有料プランでつくった曲の著作権は自分のものですか?
Sunoの規約では、Sunoが持つ権利をユーザーに譲渡するとしていますが、著作権が発生することは保証していません。日本で著作物と認められるかは、文化庁の資料にあるとおり、人の創作的寄与の程度によります。
自分で書いた歌詞はどうなりますか?
人が書いた歌詞は、AIが曲をつけたかどうかに関係なく、著作物になりえます。
AIでつくった曲を販売できますか?
アプリの規約で販売や配信が認められているかを、まず確認してください。